遺伝が年収に与える影響とは?40代年収の6割は遺伝で決まるという衝撃の研究結果

年収はどのように決まるのでしょうか?教育や経験、能力や努力など、さまざまな要因が考えられます。しかし、最近の研究では、年収の6割は遺伝で決まるという驚くべき結果が発表されました。この記事では、その研究の内容と意味について解説します。



40代年収の6割は遺伝で決まる

最近「親ガチャ」という言葉をSNSなどで良く聞きますが、実はこの「親ガチャ」親の保護下にある10代だけの事でもないようです。

リファレンスは後述https://gendai.media/articles/-/69659?page=3

上の図は男性の年収とそれが何に起因するかという行動遺伝学による研究成果を専門用語を使わずに解りやすい言葉に変えてみたものです

ちょっと驚きませんか。男性が就職するボリュームゾーンの20代で【遺伝】と【育ち】で90%近く年収が決まってしまうなんて

それともうひとつ、遺伝の影響は40代前半をピークにどんどん上がっていく

何よりも【遺伝】と【育ち】が生涯にわたって60%以上占め続けているとか

『人生「親ガチャ」で決まっちゃうって事?夢もへったくれもないじゃん』と言いたくなるような残念な感じです

と思ってしまいます

次の章以降ではこんな答えを出した行動遺伝学について少し掘っていきます。

何でこんな夢の無い事言うの?

行動遺伝学とは

行動遺伝学とは、人間の行動や性格がどの程度遺伝や環境によって影響されているかを研究する学問です。

行動遺伝学では要因を下記の3つの要素に分けて、それぞれが行動や性格に与える影響の割合を推定します

行動遺伝学は形質を3つの要因に仕分けする
  • 遺伝的要因(遺伝)
  • 家族や社会などの共通の環境(共有環境)
  • 個人的な体験や選択などの個別の環境共有環境)

先ほどの図で要素が3つしかなかったのはこの為です

したがいまして先ほどの図で

育ち」としたものは【共有環境】

偶然の出会い・努力」は共有環境】

となりさらに少し図の描き方を変えると先ほどの図はこの様になります

参照元 https://gendai.media/articles/-/69659?page=3

どの年齢で見ても3つの要素を足すと和が1.0となります。先ほどの図とは%表示か1.0指数表示かの違いで示す内容は全く変わりません。つまりこの図をいきなりお見せしても少しとっつきづらいかと思った筆者が加工したものが先ほどの図です

この研究は教育経済学者の中室牧子さんらが行ったもので遺伝行動学者からも高い評価を受けているようです。

ここで何故「男性」の年収だけを研究したのかという疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。残念ながら女性については有意な相関を見いだせなかったそうです。女性はキャリアを続ける人もいれば子育ての為家庭に入ったきりの人、再度社会進出するひとなど生き方が様々なのがその要因という事です。

次の章ではどのようにしてこのような結論を得る事ができるのかをさらに深堀りします。

まだまだ鵜呑みにはしませんよ

一卵性双生児と二卵性双生児で解明する3要素

行動遺伝学でとても重要なのが一卵性双生児と二卵性双生児です。いわゆる「ふたご」ですね

一卵性双生児とはひとつの受精卵が二つに分離分裂してしまった事によるもの。この為双生児の遺伝子は完全に一致します

二卵性双生児とは卵子が同時にふたつ排卵されたことにより二つの受精卵が発生した事によるもの。双生児の遺伝子は父母どちらから受け継ぐかが常に50%の確率であるため双生児の遺伝子は50%程度等しくなります

これを踏まえ行動遺伝学では一卵性双生児と二卵性双生児を下記の様に取り扱います

一卵性双生児
  • 遺伝子が完全に同じであるため遺伝による影響は完全に同じである
  • 同じ家庭環境で育つ為共有環境とその影響は全く同じである
  • よって一卵性双生児の相違は非共有環境のみによって引き起こされる
二卵性双生児
  • 遺伝子の一致率が50%であるため遺伝による同一性は一卵性双生児に対して50%である
  • 同じ家庭環境で育つ為共有環境とその影響は全く同じである

ではこれをもとに行動遺伝学ではどのように分析してくのでしょうか。分析には【標準偏差】という統計手法を主に使います。少しだけ【標準偏差】につて解説します。十分に知っている方は次章飛ばしてください

標準偏差とは

標準偏差とは、データの平均値からのばらつきや散らばり具合を表す統計量です。標準偏差が大きいと、データが平均値から遠くに分布していることを意味し、標準偏差が小さいと、データが平均値に近くに集まっていることを意味します。標準偏差は、データの特徴や傾向を把握するために重要な指標です。

標準偏差の求め方は、以下の4つのステップで行います。

  1. データの平均値(μ)を求める
  2. 各データ(x_i)と平均値との差(x_i – μ)を求める
  3. 差の2乗((x_i – μ)^2)をすべて足し合わせて、データの個数(n)で割る。これを分散(σ^2)という
  4. 分散の正の平方根(√σ^2)を求める。これが標準偏差(σ)である

読む気がしなかった方も多いと思いますので具体例でご説明します

AさんBさんCさんDさん
算数01001090
国語60404060

4人の生徒がいて算数と国語のテストがこのような点数だったとします

平均点は算数も国語も同じ50点となりますね

しかし同じ平均点は50点といっても各生徒の点数のばらつきが算数と国語では全然違います

このばらつき具合を表現しようとするのが標準偏差です

このように計算します

1  まず平均点を計算します

さきほど計算した通り算数も国語も50点です

2  次に平均点との差を求めます

全員の点数から平均点の50を引きます

AさんBさんCさんDさん
算数-5050-4040
国語10-10-1010
3  2乗して足したものを4で割ります(4人なので4で割る)

算数:(-50)X(-50)+50X50+(-40)X(-40)+40X40=8200

8200÷4=2050

国語:10X10+(-10)X(-10)+(-10)X(-10)+10X10=400

400÷4=100

この数値が分散となります

4  分散の平方根をとる=標準偏差

算数の標準偏差: √2050≒45.27

国語の標準偏差: √100=10

となります。

標準偏差の範囲とは平均点に標準偏差をマイナスした範囲からプラスした範囲となります

従って算数の標準偏差の範囲内とは4.73点から95.27点の範囲になります。0点のAさんと100点のBさんは標準偏差の範囲から外れてしまいますが大きく範囲から離れてはいません

国語の標準偏差の範囲内は40点から60点の範囲となります。全員が標準偏差の中に入っています

標準偏差で解き明かす3要素

行動遺伝学では一般的母集団、一卵性双生児の集団、二卵性双生児の集団について下図のように考えます

  • 一般的母集団では人の形質の違いとは①遺伝、②共有環境、③非共有環境の三つの要因で決まりこの3つの要素の合計は標準偏差に等しい
  • 一卵性双生児では双生児の形質の違いは③非共有環境の要因のみで決まるのでこの双生児ペアの標準偏差をとった後、全ペアの標準偏差の平均をとると母集団の標準偏差の内の非共有環境の影響度が解る
  • 二卵性双生児では遺伝の影響の同一性が一卵性双生児に対して50%なので一卵性双生児との標準偏差の差は遺伝の影響の50%を示す。なのでこれを2倍すれば母集団の標準偏差の内遺伝の影響度が解る

この手順によって各集団の標準偏差を出していく事で遺伝、共有環境、非共有環境の影響度を分離する事ができるわけです

前提として一卵性双生児も二卵性双生児もその発生は偶然でありこれらの集団でも全体として見れば母集団全体と同じ分布になるとします

とはいえ実際に年収の影響の計算となると様々な要因が重なってくるためコンピューターによる膨大な計算をします

冒頭の衝撃的な図はこれらの計算の前提が正しいならば相当に科学的根拠があるものだと言う事ができるかもしれません

年収を上げるためにできることはあるのか

40代の年収の6割は遺伝で決まるという衝撃の事実を紹介しました。行動遺伝学の研究手法は合理的であり信用するに足るものである事もご紹介しました。しかし、全てが遺伝で決まっているわけではなく、年収の4割は自分自身の努力や選択によって変えられる部分です。しかもこの部分は若いうちは低かったものの年齢が上がるにつれて大きくなるのです。若いころにパッとしなくても「いぶし銀」や「たたき上げ」と言われる頼もしいベテランになる事は十分可能だと思います。

さらに行動遺伝学は統計的手法を使います。そのキモは「標準偏差」です。しかし標準偏差は絶対的なものではなくこの中に納まらないデータは過去の経験則上32%も存在します。32%の半分は残念な下振れとしても残り16%は上振れるという事です。「大器晩成」の大物と言われる人たちにはこのルートの人が多いんじゃないでしょうか。

若い男性のみなさん、統計的分析結果だけで決して諦めないで下さい。今が苦しい人ほど先々のチャンスはむしろ大きいのです。



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