世界の血液型割合の何故:O型の謎に迫る

世界で最も多い血液型はO型です。特にラテンアメリカではO型が多く、ほとんどが50%を占めています。南アメリカでは90%以上、メキシコでは80%以上の人々がO型です。何故O型は多いのかを所説ご紹介しつつ考察してみたいと思います。



O型因子の繁栄率は66%と圧倒的

世界の血液型の比率は、O型が43%、A型が35%、B型が17%、AB型が5%とされています

あれO型因子はタイトルの66%なの?43%なの?こんがらがりそうになりますね。実はO型は43%だけれどもO型因子は何と66%も存在するのです。何故なのかを知るために血液型を遺伝型という形で詳しくみてみましょう。

遺伝型とは両親から引き継いだ遺伝子の組み合わせです。血液型を遺伝型でみると必ず因子がふたつになります。O因子は劣勢遺伝の為表出しないのでAA型とAO型は同じA型になります。B型も同様です。

  • AA型=5.29%   血液型=A型
  • AO型=30.36%  血液型=A型
  • BB型=1.21%   血液型=B型
  • BO型=14.52%  血液型=B型
  • AB型=5.06%   血液型=AB型
  • OO型=43.56%  血液型=O型

図示すると下図のようになります。世界で一番少数派の血液型はAB型ですが実は遺伝型で見るとBB型になります。

上図の様にA型とB型の人にはO因子を持っている人(AO型、BO型)が含まれます。これらのひとは例えばAO型であればA因子を50%、O因子を50%持っています。このAO型とBO型の人のO因子をO型43%に足した数字がO因子66%になるのです。

  • A型因子: 23%
  • B型因子: 11%
  • O型因子: 66%

地理的分布

A型因子比率
出展 https://en.wikipedia.org/wiki/Blood_type_distribution_by_country

A型の血液型比率が高いのは欧州、オーストラリア、日本、北米。逆に南米は極端に低い。

B型因子比率
出展 https://en.wikipedia.org/wiki/Blood_type_distribution_by_country

B型の血液が最も多いのは中央のアジアで、比較的多いのがアフリカです。逆に南北アメリカ大陸とオ-ストラリアが極端に低い。

O型因子比率
出展 https://en.wikipedia.org/wiki/Blood_type_distribution_by_country

一方、O型因子は世界中で一番多く特に南アメリカ大陸で圧倒的。民族的に分布比率が100%に近いのが中南米の原住民、オーストラリア原住民、西欧(特にケルト族の先祖がいる人口)です 。

所説あり!されど破綻の連続

世界の血液型の分布について、O型の因子が強い理由についてはいくつか仮説があります。これらの仮説は、人類の進化や地域的な違いを考慮しています。

  1. スナイダーの仮説:アメリカ先住民族(アメリカ・インディアン)のO型優位説:
    • アメリカ先住民族(アメリカ・インディアン)において、O型が極めて多いことが報告されました。
    • スナイダーは、この現象から「大昔はアメリカ先住民は100%O型だったのではないか」という説を提唱しました。
    • しかし、後の調査でほとんど混血のない先住民族でもA・O型が多く、B・AB型が皆無であることが判明し、この仮説は訂正されました。
  2. ベルンシュタインの仮説:
    • ドイツのベルンシュタインは、自身の三因子仮説から原始人類の血液型はO型のみであり、そこからA・B型が突然変異したという説を提唱しました。
    • しかし、カナダのアルバータ州で行われた調査では、ほとんど混血のない先住民族においてもA・O型が多く、B・AB型が皆無であることが判明しました。
  3. オーストラリアにおける発見:
    • オーストラリアでも白人との混血が少ないにもかかわらず、A型の多い集団が発見されました。
    • これにより、原始人類はO型のみではなかった可能性が示されました。
  4. 適応度仮説:
    この仮説では、各血液型が特定の環境で有利であると考えられています。例えば、O型は感染症に対する免疫力が高く、疫病に対する抵抗力を持っているとされています。そのため、過去に感染症が流行していた時代においてO型が優勢だった可能性があります。
  5. 食生活仮説:
    血液型と食事習慣との関連性を考える仮説です。例えば、A型は農耕社会で発展した地域に多く見られることから、穀物中心の食事に適応してきた可能性があります。一方で、B型は乳製品を摂取する能力が高く、乳製品を主食とする遊牧民族に多く見られます。

これらの仮説は科学的な議論や研究が進行中であり、まだ完全に解明されていない部分もあります。しかし、世界中で異なる血液型分布を持つ人々が共存していることから、複雑な要因が絡み合っていることは確かです。

鍵は類人猿に有り

ここからは私の個人的感想です。軽い気持ちで読んで頂ければ幸いです。

O因子が基本型でありA因子とB因子は人類がアフリカを出て世界中に移動している中で突然変異で発生したという仮説はことごとくA因子をもつ原住民の発見によって否定されています。

ただしB因子だけは人類がアフリカを出て世界中に移動している中で突然変異で発生したという仮説はまだ可能性は残っていそうですがその可能性は低いと私は思います。

O因子が基本型でありA,B因子は派生型だとするのは有力な仮説だとは思いますがその発生は人類と類人猿との分岐よりも前の時代までさかのぼるのではないかと思っています。

何故そう思うのかと言いますと、チンパンジーやゴリラなど類人猿にあります。

チンパンジーやゴリラなど類人猿も人間と同じABO型血液型を持っていますがその内訳は大変興味深いものがあります。

  • チンパンジーにはA型とO型しか居ない
  • ゴリラにはB型しか居ない
  • オランウータンにはA型とB型がいる(O型もいるかもしれない)

何故このような片寄りがあるのかを考え出すとまたひと記事書けてしまいそうなので飛ばしますが重要なのは類人猿にもA,B,Oの各因子を持つものが存在するという事だと思うのです。

この事がなによりも人類が発生した時にはすでにA,B,O各因子がすでに存在していた最も重要な状況証拠なのではないだろうか。

各因子が既に存在していたとなれば現在の因子割合や地域性は地域ごとの各因子の免疫力によって淘汰された結果だと考えるのが妥当ではないだろうか。そう言えば最近のコロナ騒ぎでも比較的重篤化しにくいのはO型でしたよね。

という事で何故人間にはO型因子がとても多いのかと言えばやはり「適応度仮説」が最も有力なのではないかと私は考えますがみなさんはどう思いますか。

適応度仮説:

この仮説では、各血液型が特定の環境で有利であると考えられています。例えば、O型は感染症に対する免疫力が高く、疫病に対する抵抗力を持っているとされています。そのため、過去に感染症が流行していた時代においてO型が優勢だった可能性があります。



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