ユニバース25という名前の巨大なケージで、マウスの社会を観察した実験がありました。この実験は、アメリカの動物行動学者ジョン・B・カルフーンによって行われました。カルフーンは、マウスに食べ物や水、巣材などを無制限に与えて、人口増加と社会的ストレスの影響を調べました。結果は驚くべきものでした。彼は、人間社会にも同じような危機が起こる可能性があると警告しました。この記事では、ユニバース25実験の詳細と、その意味するところを紹介します。
ユニバース25実験とは
ユニバース25実験とは、1958から1962年にアメリカの動物行動学者ジョン・B・カルフーンが行った、ネズミの社会的崩壊を観察した実験です。水と食料と巣営地が十分に供給される閉鎖された空間(ネズミの楽園)にオスメス4組計8匹のネズミを放ち繁殖の経過を観察したものです
序盤ネズミは順調に増えて行きましたが300日ほどで異変が起きます。それまでの増加割合のペースが落ちて普段の行動にも異常がみられてきたのです。560日目ネズミの数が設計上限の3840匹にも達っさない2200匹で頭打ちになります。その後も異変は続き最終的にはネズミの社会は完全に崩壊し、全滅への道をひた走っていきます。かろうじて生き残った個体も無気力で無表情になってしまったばかりか、実験室から救出しもっと良好な環境に移してあげてもついに最後まで繁殖行動を示す事はなかった、つまり実験のネズミは全滅してしまったのです
この実験をデマだ都市伝説だとする言説が多いのは何故か
ユニバース25実験はデマだ都市伝説だとする言説は多いですが、それらの言説こそデマの可能性が高いです。何故ならこの実験は間違いなく行われている可能性が高いからです。論文すらも提出されています。
では何故「デマだ都市伝説だ」とするデマが起こるのか
それは恐らくですが、ユニバース25実験に関する2次3次の記事に「人類の絶滅を予見するものだ」と断定しているものが多いためだと思います
その2次3次記事を読んだ批判者が「そんな断定はナンセンス、ユニバース25実験はデマだ都市伝説だ」と主張しているのです
でもこれは明らかにおかしい話です。人類絶滅を断定する2次3次記事をデマ都市伝説だと言うのならともかく実験そのものがデマ都市伝説だとするのは論理の飛躍です
この実験が実際に行われたのは間違いのない事実ですの可能性の方が高いと私は思います
次の章では実験の詳細についてご説明いたします
実験の詳細
実験装置・ネズミの楽園
ユニバース25の実験装置の概要は以下の通りです
- 一辺が2.7メートル四方の正方形型の柵(高さ1.4メートル)に囲まれた閉鎖空間(外界との出入りは不可能)
- 一辺につき4つのブロックがあり1ブロックはさらに4つの縦長ブロックに分かれる。縦長ブロックには4つの巣穴がならぶ。つまり一辺につき4x4x4で64の巣穴があり実験装置4辺で合計256の巣穴を持つ
- 1つの巣穴には15匹のネズミまで許容可能。装置全体の許容ネズミ数は15x256=3840匹
- ひとブロックごとに専用の広場に面しているが広場はゆるい柵で仕切られておりネズミの越境は自由にできる
- 水やりエサ場は縦長ブロック毎に専用に設けられている
- 縦長ブロックは金網のトンネル状になっている
- 水やエサは無制限に与えられる
315日目の異変
「ネズミの楽園」には4組のオスメスが放たれおよそ55日毎に2倍に増えて行きます。315日目で620匹に達しましたがそこから異変が発生。2倍に増えるペースが55日から145日にガクンと落ちたのです。そればかりかさらに以下の様な異常行動が目に付き始めます
囲い全体に十分なスペースがあるにもかかわらず、各区画には最大 15 匹の個体を収容でき、囲い全体は 3,000 匹を収容できるように作られていますが、ほとんどのネズミは選ばれた場所に群がり、同じ餌を食べていました。結局のところ、食べるという行為は共同活動としてみなされるようになり、その結果、ほとんどのマウスが同じ少数の区画を好むようになりました。
しかし、このような群れのせいで交配が減少し、出生率はすぐに以前のレベルの 3 分の 1 に低下しました。マウスの間でも社会的不均衡が生じました。
英語版wikiより
- 3 分の 1 が社会的に支配的な存在として浮上しました。
- 残りの 3 分の 2 は、先祖に比べて社会的に熟達していないことが判明しました。
- マウス間の絆のスキルが低下するにつれて、ユニバース25はゆっくりと、しかし不可逆的な衰退に陥った。
560日目ついに死亡率は100%に
ネズミの数は設計許容数以下の2200匹で頭打ちになるとともに異常行動が激しくなります
攻撃性が高まり、仲間を殺したり、子どもを食べたりするようになりました。また、性行動も異常化し、雌雄の関係が崩れ、子育てを放棄したり、同性愛や無性愛になったりしました
異常行動は一向に収まる事はなく、ネズミの社会は完全に崩壊し、子ネズミの死亡率はついに100%へ。生き残った個体も無気力で無表情になりました
920日目最後の出産
ほとんどのオスは完全な引きこもりになりメスへの関心もなく、争いも起こさず、ただ一人で誰とも関わらず自分の生命を維持する行動(食べる寝る)しかしなくなった。唯一の仕事は自分の毛づくろいをする事だけだった
メスは新たな繁殖行動を一切やめてしまいました。920日目に出産を目にしたのが最後になりました
全滅:サルベージも失敗に終わる
ネズミが全滅する前に、「異常行動するようになってしまった個体でも実験装置外の自然でフレッシュな環境に移せば正常行動ができるようになるのか」が実験されましたが新天地に移籍した異常ネズミは正常行動する事はなくとうとう繁殖行動をしないまま世を去ってしまいました
かくしてネズミの楽園は崩壊しました
6年後に開始した第二次実験においても同様の結果となりました
これは人類の未来の暗示なのか
以上がユニバース25実験の内容です。いかがでしたでしょうか
全滅したという事実に拘り過ぎると、元が8匹なので近親交配が原因だから実験は無意味だなどという極端な考えに陥りやすいです
私はこの実験が人類の未来を直ちに暗示するとは思いません。しかしだからと言ってこの実験を全否定するつもりもありませんしこの実験はたとえ全滅という結果ではなかったとしても無意味だとは思いません
私はこの実験には重要な事実があるのは間違いないと思うのです。それは
この実験が示したネズミたちの異常行動があまりにも現代社会の人間に起きている事に似ている
という事です
ただしネズミたちが強制された異常環境がそのまま現代の人間社会にも起きているとは思いません
ネズミたちが強制された異常環境とは
- 本来野生生物は食料の確保、外敵への警戒という決して容易くない目的の為に多くの時間と労力をかけているのにそれがなくなった
- どれだけ過密になっても未開の新天地に移住する事は絶対にできない閉鎖空間に閉じ込められた
現代の人間社会が抱える困難は決してこのようなものではないですよね
しかしネズミと現代社会の人間、原因は全く違うのに出ている症状はとても似ている
これは現代社会の人間がさらされている問題というのはネズミたちが強制された異常空間による弊害と似た性質【共通点】をもつのではないか、と考えるのが妥当ではないでしょうか
私はこの【共通点】とは
本来の生物としての自然なあるべき環境から逸脱した環境に住んでいること
だと思います
では具体的に人間の住む環境は何が逸脱しているのでしょうか
とかく環境というと自然環境を思い浮かべてしまいがちですが、私は【社会環境】だと思います
原因が自然環境だろうと社会環境だろうと本来あるべき姿から逸脱した世界にさらされ続けたなら生物は似た様な異常行動に走り始める
ネズミたちは自然環境が不自然になりそれにともなって社会環境が壊れてしまったが人間の場合は直接社会環境が壊れてきている
壊れてきている原因が何かと言えばおかしな思想だったりありえない程の格差だったりするかもしれません
この実験の重要な示唆とはこれではないかと思います
しかし人間は問題が社会環境であるならば変えて行く事が十分に可能です。だから私はこれが人類の未来を暗示するとは全く思わないのです
この実験結果は「現代の社会環境はとても良くないものが含まれており早急に改善する必要がある」と我々に教えてくれているのではないでしょうか
それは「近代」には無かったが「現代」には存在する問題なはずです
コメント すみませんが海外スパムが大変多い為手動認証してます。基本、日本語のコメントは全て認証します。
これ思ったのがインターネットコオロギ
生まれたときから完全に隔離したコオロギにエサだけやる
滅茶苦茶攻撃的なでかいコオロギの出来上がり
コメントありがとうございます。インターネットコオロギ面白そうな題材ですね。ちょっと興味沸いちゃいます。関連記事にさせてもらうかもしれません。良い情報重ねてありがとうございます
たまたま興味を持って調べ始めた時に、
このサイトにたどり着きました。
疑うわけではないですが、
間違いのない事実、とまで言い切るのであれば、
wiki以外の情報ソースを提示していただきたいところです。
御指摘ありがとうございます。たしかに情報ソースとしてwikiや2次資料的サイトしか見当たりません。ですので出稿時に断定で大丈夫か悩んだ部分ではありましたがAIに確認したところ実験が行われたのは間違いないと出たので、批判サイトもおおむね実験実施自体を疑うものも少ない事もあり断定としました。しかしながら御指摘を受け断定とするには情報ソースが弱い事は否めないと再確認いたしまして「個人の見解」に改めさせていただきます。改めて御指摘ありがとうございました