ヘリマネ?日銀ETF、大量保有のその後・・

日銀によるETF買いが進み、その保有高はついに日本株の時価総額の3%台にのる勢いとなりました。これは果たしてヘリコプターマネー(ヘリマネ)なのでしょうか?

2018年の今にわかに日銀ETF買いを含む異次元緩和政策の出口戦略が注目されます。今回は特に投資家にとって注目度の高い日銀ETF買い政策の先行きと大量保有株の行方について考えてみたいと思います。

1. そもそもヘリコプターマネー(ヘリマネ)って何?

ヘリコプターマネー(ヘリマネ)とは簡単に言えば中央政府/中央銀行が何の根拠もないに等しい対価をもとに発行した貨幣を市中にバラまくこと。

空(政府)からお金が降ってくる様子が「ヘリコプターからお金をバラまくようであること」にその名は由来します。

一般的なバラまき政策と違うのは「何の根拠もないに等しい対価をもとに発行した貨幣」というところにあります。

これをやると中央銀行のバランスシートに「何の根拠もないに等しい資産」が入るため中央銀行としての信任・・すなわち発行する通貨の信任が損なわれます。

2. 日銀ETFはヘリマネなの?

今すぐにヘリマネかどうかの答えを出すことはできません。少なくとも現状においては日銀のバランスシートには有期限付きの国債という、きちんとした対価が入っています。

では何故ヘリマネなのでは? という疑念を抱かれてしまうのか。

それは、後でどのようにでも処理変更できるからです。

例えばいま日銀に入っているのは確かに有期限付きの国債です。でもこれをもし後から政府が無期限国債などを発行してしまい交換させたならば、結果的に何の根拠もないに等しい対価となりヘリマネだったことになってしまうわけです。

後で詳しくお話しますがその他にもヘリマネに相当してしましいそうな処理方法があります。

ただしそれでも無償で市中にバラまいているわけではありませんのでいずれにしろ完全純粋なヘリマネというわけではありません。

3. 日銀ETF買い政策の先行きとは?

異次元緩和政策パッケージ全体の出口戦略としてセットで決まるというのが市場コンセンサスのようです。ETF買い政策だけをやめるとか規模縮小するとかはあまり考えられていないようです。これは日銀・黒田総裁のコメントに根拠しています。

ただし、そうなると日銀の掲げる目標(物価上昇率2%)が達成できるまで行うのか、どこかで見切りをつけるのか出口戦略は大変難しいものになってきます。

そもそも異次元緩和政策に使っている手法のどれもが、長期的に行なえるようなものではなく一刻も早く目標達成して出口戦略に向かわなければならないものだと思います。

目標に達さないからといって中央銀行が永遠と市場を買い支える。なんてどう考えても正常ではありませんよね。

国債にしろ然りで、このままでは「買いたくても買う国債はもう無い」なんていう日が着々と近づいています。

筆者は一刻もはやく出口戦略に入ってほしいと思ってこの記事を書いています。もしこのまま異次元緩和を続けると最後どうなるか。ETFはまだしも保有する国債価格の低下(金利上昇)により、日銀は債務超過に陥りかねません。(ただし国債を売ればですが)(中央銀行が債務超過になっても問題ないとする意見もあります)

4. 大量保有株の行方はどうするの?

じゃあ出口戦略に入るとして、具体的に日銀が保有する大量のETFはどうするのか?

筆者は中央銀行がリスク資産である株式をいつまでもバランスシートにおいて置くのはとても良くないと思っています。日銀はETFを最終的には全て手放さなければいけないと思います。

ネット上には「国債と違って無期限なのだから永久に持っていたらいい」という意見もあります。

これが先ほど「後で詳しく話します」と書いた

「日銀ETF買いは結果的にヘリマネだった」に相当してしまいそうな処理方法です。

絶対に売ることのできないリスク資産というのは、根拠のない資産という訳ではありませんが「売れない」という点では近いと思います。

ではどの様にして手放せばいいのか?

これについては

ロイター:  焦点:日銀ETF購入の「出口」、市場が描く5つのシナリオ
の記事に筆者の見たところ現実的な方策が詳しく出ています。5つのシナリオを引用させていただきます。

1.テーパリング
2.保有株を市場で売却
3.GPIFなど特定投資家を受け皿に
4.企業が自社株買い
5.買取機構を設立し棚上げ

ただし、どのシナリオを持ってしても容易ではありません。いずれにしろかなり長い年月を要するか、市場にあまりに大きなインパクトを与えるハードランディングになるか、問題先送り的手法になるか、そう都合よくいけばの話であったりか。

筆者はたとえ大きなインパクトを与えようとも市場で売却するべきだと思います。何故なら日銀が不健全に成長させた市場であるならその不健全さを解消できるのも日銀だけだからだと思うからです。

5. まとめ

国債に比べると比較的問題の小さいと思われるETFの後処理でもこれだけ大変な事態です。一刻も早く出口戦略に入ってほしいと願います。

「物価上昇2%」も達成できたならば、さらに喜ばしいことですね。


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